Miruntius ミュージカルと雑記その他

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渡韓顛末記第2日目 ~大学路でブラザーズカラマーゾフ鑑賞編~

大学路へ

この旅最大の目的、大学路でのミュージカル観劇の記録になります。益善洞を後にし、おなじみの地下鉄で大学路のある恵化駅へ。韓国、ソウル駅その他にもミュの広告がデカデカとあって、テンション上がるんですが、恵化駅はさすが劇場街ということもあって他の駅より格段に広告も多い。既にテンションぶち上げの民と化し、まずは劇場の場所を確認するために駅構内にある大学路のマップを見ることに。これ見て初めて知ったんですが、大学路ほんとに広い。いや、元学生街を劇場街に利用してるというのは知ってたんですが、劇場が建ち並ぶ町並みというのが想像出来なさすぎてもっと規模が小さいものかと……でも実際行くとマジで至る所に劇場がある綺麗な町並みって感じでした。1.6㎞もあるらしい。圧巻。(USJの綺麗な通りみたいな雰囲気だった)美術館とかも多いらしく、次行くときはもっとゆっくり色々見て回ろうと思いました。

ともかく劇場の場所はなんとなくわかったので、そこからはスマホの地図頼りに通りを物色しつつ劇場まで。ホントに小劇場が至る所に立ち並んでおり、気になるタイトルも目白押しだし(今めっちゃ見たいなと思ってた海賊もやってた、見た過ぎる)、おしゃれな飲食店や雑貨屋さんも軒を連ねている。目移りしながらもしっかり劇場のあるビルに到着。本日の会場、YES24 Stageでございます。

 

作品ポスター、ゴッホもちょっと気になっていた

 

劇場自体は地下にあるらしくとりあえず地下に向かい、チケットボックスを確認。(後でわかったのですが、私がこの時確認したボックス、まさかのブカマの上でやってるゴッホミュのだった。ちゃんと文字読んどけよというね。本当にそそっかしい人間でございます)ひとつ下の階で物販をやってるみたいだったので、チケボは開演1時間前に開くのか確認しがてら下に降りてみる。物販のお姉さんにまたしても覚束ない英語で質問したところ開演1時間前にチケボ開くので大丈夫そうということで劇場を後に散策へ向かいます。ちなみに物販はまだ開いてませんでした。そりゃそう。6時開演で3時頃に物販あくのは妙だなとは思いました。全然冷静な判断力が存在してないですね。まあこの旅ずっとそうです。

気を取り直して(?)散策に出ることに。昼ご飯がかき氷だったので(二日目前半を参照)、カフェなどで腹ごなしをしたいよねと思い、よさげなカフェを物色。大通りの町並みがマジでUSJの雰囲気のよいストリートっぽくておしゃれじゃんなど感動しながら歩いていると、明らかにミュージカル俳優DAYみたいなのをやってるカフェを発見。もうね、ここに決めます。メニューも美味しそうだし。ピックアップされてる俳優さん、何かめっちゃ見たことあるなと思いながら入店し、店内に飾ってある写真を見ながら注文も無事終了。通りの見える窓際の席を確保できました。

 

大学路の通り

 

カフェ



美味しいマドレーヌを食べながら、この俳優さん、エドモン・ダンテスやってるし、フランケンのアンリ、キンキーのローラも??しかもベンハーやってる……???めっちゃ見覚えはある……って悩んでたんですが、お手洗いに立ったときモーツァルト!のヴォルフガングやってるのを見て、あ~!!!?見たことあるはずじゃん!!!パク・ウンテ氏だもんね!??ってなりました。そりゃあ見覚えがある。当たり前である。というか韓ミュといわず、アイドルとかもっぽいけど、こういうイベント(?)みたいなやつあって良いよね……私の韓ミュ最推し、ミン・ウヒョクDAYとかありますかね……こないだ撮影でコーヒーカー(?)作ってもらってるのは見たよ……という訳で入店以来の謎も解けたのでスッキリしてカフェを後に。(本当に余談ですけど私たちの座った窓際の席、ウンテ氏のコーナーが横にあり店の前とかから皆さん撮ってらしたから他のお客さんが座ってなかったっぽい……休憩中しょっちゅうお客さんが店前から写真撮ってたので気付いたよ……ごめんね、邪魔な観光客が写真に映り込むねここにいたら……ってなりました。反省したので次はやりません。ひとつ賢くなったぜ)

チケボが開くまで後30分ほどなので、劇場に戻りながら気になってた文具屋さんへGO。私は仕事柄もあり(と言っておけば許されると思っている節もあり)文房具が好きでよく買うのですが、韓国の文具も見ちゃお、という訳です。入ったお店は文房具オンリーという訳でもなく、雑貨やら何やらがいっぱい置いてありめちゃくちゃ目に楽しい。実は渡韓前、現地に行ったら欲しいものランキング堂々の一位にムジクタイガーくんがいたのでまずはムジクタイガーくんを捜索。いなかったので悲しみつつも文房具を見ました。(ムジクタイガーは韓国だと一体どこで売っているの……??通販ではいっぱい見ますがあの子は通販専門の方……??お菓子は見かけましたが……無念)韓国の文房具、蛍光ペンとかがいろんな形あってくすみカラーみたいな感じのもあり可愛い。しかし実は前日にも買ったので流石に2日連続蛍光ペン買うのもな、と思い、結局色々見て見ましたが何も書いませんでした。理性が強くて偉いね。

そして、再び劇場に舞い戻り、チケットボックスが開くのを待ちます。この時先に確認した場所がゴッホだということを知り、事前リサーチのガバさに絶望しつつも無事チケットを貰い、今度こそ物販へ。何を隠そうこの為に渡韓したと自信を持って言えるブラザーズ・カラマーゾフの2021版OST(なんと4枚組5000円ほど!安い!)と、つい最近グッズに並び始めたのはちゃんと知ってたプログラムブック(1000円ほどでめちゃ分厚い!破格すぎる!)を手に入れ最早開演前から意味のわからないテンションに。同行者も似たような感じだった為異様に昂った変な観光客2人組の完成です。

 

ブカマのパンフとOST

キャスボ



ジリジリと開場を待ち、シアターが開くと同時に入場。係員のお姉さんが韓国語で何かしら注意事項を話してくれてたんですが、全くわからず曖昧な微笑を浮かべとりあえず席に着く。(後でお手洗いに行った帰りにわざわざお姉さんが私を呼び止めてスマホの翻訳文を見せてくれました。撮影事項のお願いだったらしい。お姉さんありがとう。マジでちゃんと韓国語勉強します)ここで発覚したのですが確保した席、めちゃくちゃ視界が開けていて最高。ブカマ、ちょい爆音との情報をフォロイーさんから得てたので後ろめで取ったのですが、ちょうど通路が前にあるので背の小さい私でも全くストレスなく前が見渡せる!(いうて割とちゃんと傾斜があるので前に人がいてもそこまでストレスなかった気もしますが)チケッティング時の私は天才だったのでは?!など自画自賛しました。そうこうしてると、ふと会場からなにやらよさげな香りが漂っていることに気付きく……抹香っぽいというかなんというか……なるほどこれがTwitterで言われてた何やら良い感じのスメルなんだな~と事前情報のありがたみに感激。そしてこれは全然知らなかったのですが、会場、めっちゃくちゃに寒い。カラマーゾフを見るからには観客の感覚もロシアの大地に合わせないとね、みたいなノリ??ってくらいには寒い。極寒。一応観劇のためにショール持ってったから事なきを得たけど、隣の半袖のお姉さん、劇中三回もくしゃみしてらしたよ……会場の歴戦のお客さん達がしっかり防寒してるはずだよ……(会場、かなりの人数が歴戦のブカマリピート勢ぽかったです。客席で皆さんお互いに挨拶していらした。あと、噂のブカマポイントカードを押して貰ってる方々も一杯いた。凄い。私もポイントカード作ってブカマリピートしたい)

 

ブラザーズ・カラマーゾフ鑑賞

いよいよ、幕開けでございます。割とマジの極寒の中、若干不安になりながら開演を待ってると、劇場が青っぽくなり兄弟達が入ってきます。もうずっと異様な昂ぶりにあり続けたので正直様々怪しい記憶もあるのですが、以下感想となりますので悪しからず。あと私はドミトリー・フョードルビチ・カラマーゾフ推しと公言してはばかりませんので、この感想の八割はミーチャカメラ搭載者の妄言だと思ってください。

登場シーンから既にあのとき配信で見た光景……!!という感激で一杯だったのですが、まずびっくりしたのが、ミーチャ、めっちゃおっきい。ファーストインプレッションのほぼ全てがミーチャでっかい!!!で埋め尽くされました。スケール感がほぼ原作のミーチャ……最高……ミーチャはやっぱりおっきくないとね……曲が始まり棺を囲む兄弟たちが歌い出す……あのね、声圧がすっごい。びっくりするほど上手い。韓ミュ、レベル高すぎ。そして赤いガウンきたフョードルが入ってきて歌い出す。심재현さんのフョードル、去年配信で見たフョードルなんですが、生で見ると胡散臭いオッサン感が鰻登りで良すぎる。死んでいるのに元気で胡散臭い下町のオッサン、フョードル・カラマーゾフである。フョードル、全体的に全ての立ち回りが好きですが、やはり最後の俺を殺したのがお前達で良かった、に全ての良さが詰まっている。ブカマは本家本元カラマーゾフの兄弟より明らかに尊属を殺すこと、所謂父殺しへのテーマ性がおっきいのですが、あの部分があることで、全ての兄弟に父を殺す理由があり、全ての殺意が父を殺しそれを父は甘受したというあたりがヒシヒシと伝わる。ブカマにおける父殺しが神への挑戦とどれくらいリンクするかは何とも言えないんですが、まあでも多分兄弟達は父への殺意を自覚し、父を殺した事実を確認する中で神と対峙するわけですからやっぱり多少はあるかな??

ちょっと1人ずつの話をします……時系列をちゃんと追えそうにないから。

まずミーチャ役、양승리さんですよ。とにかく声がデカい。サイズもおっきくてめちゃミーチャ!って感じ。特に前半のミーチャ、粗野で享楽的、短絡的で人懐っこいがブチギレも早いというミーチャらしさがありました。ちょっと軍人らしすぎる感もあるんですが、ブカマのミーチャは全体的に軍人っぽい軍人らしさが皆さんあるのでこのミーチャもそうだなーという感じ。前半部特に狂態を極めていて、マジで乱暴だし破滅的に相性合わなさそうな오종혁イワンとの喧嘩もヤバけりゃヒョードルとの諍いも凄くてまさに荒ぶる男。圧倒的粗野。途中イワンのこと投げ飛ばすシーンがあるんですけどイワンがポーン、ゴロゴロってなるしその後スメルジャコフも凄い飛ぶしでサイズがでっかい男の暴力、という感じが迫真。しかし、ドミトリー・フョードルビチ・カラマーゾフの真髄は前半部の粗野さに重点がある訳ではなく、転向後の原罪を背負う目覚めたミーチャとの落差を如何につけるのかという部分にあります。この辺、양승리ミーチャは驚くほど絶妙にバランスを保っていて、ミーチャの転向を表す曲、"足のない鳥"はその寄る辺のなさへの不安や苦悩が非常によく表れていてこれがまあ凄い。あのあたりのミーチャ、背景に母に死なれ父に顧みられずに過ごした幼いミーチャが見え隠れしてとても苦しい。ミーチャは父殺しを見つめる過程において確かに存在していた父への殺意と自分の中にあると思っていなかった父に愛を求めた事実の両方に気付いていく感じがします。ミーチャの父殺しは割と、それが即ち神の再発見に繋がってる気がします。ただ、別にブカマにおけるミーチャによる神への目覚めは劇的ではなさそうかつ、あれは神を見たというよりなんだろ……彼の中に存在した信仰を再発見し、それが宿ったみたいな感じがするので神との対峙感は比較的薄めかな……ミーチャが向き合っていたのは基本父と己っぽかったのでやはり転向はどちらかといえば自身の信仰の再発見なんかな……ともあれ、"足のない鳥"を契機に前半の粗野さが一転、端正で凛とした、でもどことなく不安げな雰囲気がたまらんミーチャに……めちゃどセクシー……ちなみに前半部基本的には荒ぶり続けているのですが、父との諍いの時、父フョードルに煽りに煽られ銃を持ち出したものの撃つことが出来ず、父を殴って走り去る一連の流れがただの乱暴者のそれではないんですよ。ミーチャは父を殺したいほど憎んでるといいつつ、銃を取り出し父への殺意を顕在化させる段になって怯むんですよ……口では父を憎むと言いながら実のところ本当に父を殺す可能性を自分の中に見つけて割と愕然としたのではないか……??みたいな感じなんですよ……めちゃcute……そしてね、父との諍いを眺めて馬鹿笑い(マジで引くほど笑ってたよ)するイワンと揉めスメルジャコフと揉め再びフョードルとももみくちゃになるミーチャ、アリョーシャの嘆きで我に返って逃げ去るんですが、あの動揺と羞恥よ……ミーチャは基本的に粗暴ですがそれ故に純粋で非常に素直なので恥を感じるんですよ……あとね、양승리ミーチャ、配信で見た2回分のミーチャは最後の最終弁論の部分割りかし端正で凛然とした感じだったのですが、今回のミーチャは力強い。いっそ投げつけるぐらいの勢いで弁論をする。アレはアレでカラマーゾフを感じる。実は結構解釈が変わった感じだったのであとでOST聴いて気付いたんですが、양승리さんのミーチャ、私が初めてブカマをみた配信1日目のミーチャだったんですよね。去年の양승리ミーチャは転向以降の振り切れ方が凄くて、この世の全ての原罪を抱く人類の救世主としてのミーチャだったので、今回のミーチャとなかなか結び付かなかった。声フェチの部分の私はめっちゃ好きな声!去年の初回ミーチャと似てる!!(似てるも何も本人である)って感じだったんですが、まあほんと個人的には転向後のミーチャが結びつかなくていや凄いな…他キャストさんとの兼ね合いか一年たっての解釈の幅かはわからなかったんですがこんなに変わるか、と。割とこのミーチャ、原作のドミトリー・カラマーゾフを感じさせました。あくまで個人的な意見ですけど、去年2回見た配信のミーチャが1人は全世界を抱くミーチャで(こちらが去年の양승리さん)、もう1人はより弱々しく原罪を背負えるか…?!って感じの弱さがおしだれたミーチャ(これも良かった)だったんですが、今回の양승리さんは2人の中間っぽくて1番原作ミーチャを感じました。しかしどの解釈も良い……後ミーチャはフョードルを除けば1番低音かつ合唱になるとかなりの部分で下を支えてたり、作中驚くことにしっとり系ナンバーを2曲も持ってて曲目的には1番しっとり系だったりする男なので基本的に歌がべらぼうに上手い。양승리さん、特にめちゃくちゃ上手い。お気付きの通り去年今年を通じて完全に推しになりました。

あとね〜生で見てるので舞台がめちゃよく見えるんですが、ミーチャ割とめちゃくちゃ出入りが激しい。こんなに出入りしてたのね?!ってなりました。落ち着きのなさがミーチャっぽくて良かった。苦悩する姿や激昂の様子も具に確認できるのでやはり舞台は生で見るべき。再演早くしてください……

お次はイワンなんですが오종혁イワン、見たことないレベルのガラの悪さ。チンピラやん?!?ってなりました。理知的で酷薄なインテリというよりは頭は良さそうなんだが胡散臭いインテリって感じ。まあ、チンピラ……ある意味カラマーゾフらしい。イワン……?!ってなりましたがこれはこれで良い。数多のカラマーゾフ翻案作品を持ってしても中々出てこない稀代のイワン。出だしからガラ悪そうでドミトリーとの相性が奇跡的に悪そう。(むしろ良いのか?!)上でも言ってますがミーチャとフョードルの諍いを見て嗤うイワン、マジで引くほど楽しそうでじゃ、邪悪すぎる……ってなりました。肉親の諍いを嗤うイワン、そりゃ原作でもありますけどそんなに?!ってくらい嘲笑ってました。普通に性格悪そう。あと、スメルジャコフに対する扱いも徹底して見下しが感じられて、あー、ずっとスメルジャコフのこと見下してきたんだな〜ってのがわかる感じ。スメの部屋で自分の論文見つけた時もまず最初に嫌そうだった……他イワン、スメルジャコフに触ったり触られたりする時、潔癖っぽい嫌がり方とかするのであれはめちゃわかるな、となったんですがこのイワン、別に潔癖とかいうよりスメルジャコフという個人への見下しから汚いもの触った、という感じでハンカチで手を拭き更にそのハンカチを床に打ち捨てる徹底ぶり。他者への傲慢がありありと感じられ、ぶっちゃけフョードルの煽り芸を1番色濃く継いでませんか?!というイワン。それだけに崩壊後から大審問官へ至る過程がまたものすごい見もので、アレだけ他人を馬鹿にしてたイワンが、スメルジャコフとのやりとりから、自身の罪の自覚に至るまでの流れがもう本当に完全に自壊という感じの動揺、否定、葛藤に満ち溢れている。多分スメルジャコフより暴れ回っていた点については若干面白かった(と同時に体張りすぎて心配だった)んだけど、スメルジャコフを契機としてイワンが自ら壊れていく一部始終がありありと感じられる。故に神への問いかけが悲痛。イワンの悲しき知識人としての絶望が怒りと共に奔出していて、凄い見応え。最終盤のイワン、完全に燃え尽きてボロボロでしたが、そりゃああなる。오종혁さんのイワンは、スメルジャコフを契機にしたイワン自身の自壊、という感じが強かったです。そういや全くの余談(?)ですけどイワン、ドミトリーに手渡しでフョードルの灰渡してませんでした?!アレ今までもそうでした?!後生大事に手で父親の遺灰握ってきたの貴方??!そしてそれを兄に手渡したわけ?!

そしてアリョーシャ。なんかめちゃくちゃ歌が上手かったアリョーシャ。정재환さん、純朴さと信仰心と幼い怯えのバランスが絶妙でした。スメルジャコフのことを心底悪魔的に感じ怯え、糾弾するアリョーシャって感じ。兄イワンに信仰を揺さぶられる様が深刻で、感情が爆発して薔薇を投げつけた(激しかった)ホッソリ後、怯えて部屋の隅で膝を抱えている様が悲痛。ブカマのアリョーシャ、原作同様私には掴みにくいキャラクターなんですが、彼の信仰はどうなるのか。父の死を望んでいたと認めながら一体その信仰を貫くことができるのか。という幻の第二部のアリョーシャを感じさせるアリョーシャでしたね。割と第一部後にアリョーシャが僧院を出るのが理解できるアリョーシャだなあという感じでしたね。存在しない記憶でイワンと通じ合うアリョーシャは翻案ならではなんですけど、あれがあるからこそ自壊するイワンを支えるアリョーシャに説得力があるなあとも思いました。ちなみに暴れ回るイワンが力尽きた後、アリョーシャもだいぶ疲れた感じで良かったです。(??)

スメルジャコフ、歌が良かった。何回歌が上手いというつもりじゃという感じですがやはり圧倒的に歌が上手い時は言及せざるを得ない。マジで韓ミュ、全体的にレベルが高すぎるよ……スメルジャコフ、実は配信1回目で見たフィジカルの鬼みたいな凄い動きをする悪魔的スメルジャコフが目に焼き付いていたのであれから印象を変えられるか不安だったのですが、김리현さん、イワンのメフィスト的性質と孤独を抱え見捨てられた個人の苦しみとの共存が絶妙。個人的に好きなタイプのスメルジャコフでした。誰にも顧みられない、兄弟の輪に入ることの出来ない男の世界への(神への)復讐という感じ。ブカマのスメルジャコフ、イワンのガチファンみたいなおスメもいて趣深いんですけど김리현スメルジャコフは割とイワンと距離がある。イワン自体というよりは思想に共鳴してんのかな??あんまりファンじゃなさそう。(??)故に、イワンのメフィストとしてのスメルジャコフ感が非常にありました。イワンを揺さぶりアリョーシャを揺さぶり神への挑戦をするスメルジャコフ、という感じ。くらい部屋で膝を抱える孤独な背中の悲痛さと表裏をなす兄弟たちへ、神への復讐と挑戦的態度がめちゃ見応えありました。イワンを追い詰め瓦解させる一連、まあイワンはイワンで瓦解というか自壊ですけどスメルジャコフめちゃくちゃ怖かった。

てなわけで大体割と朧げながらまとめてきたんですが、あらためてブカマ、明らかに原作より湿度が高い。兄弟間の存在しない記憶とかも挿入されとるおかげで父に顧みられず自らを証明できない孤独な兄弟達の葛藤や苦悩がかなり抉り出されてるので、近親間の愛憎関係や存続殺が浮き彫りになってましたね。そう、神の話なんですけど、ブカマはやはりミーチャ、アリョーシャの二人は基本的に神と対峙するものという感じではないのだな、と。アリョーシャは信じることが難しいからこそ信仰に価値がある、という感じかなと思うので、基本的に一部では神を見ない者なんじゃないかなブカマ君的には。その点スメルジャコフ、特にイワンは、神と対峙した者にそういう話としては言えるのかな……イワンは特に、神への否定を通じてむしろ神を発見した感じですよね。なんか遠藤周作の沈黙っぽいな。

あとやっぱり舞台セットが作品の良さを際立たせていて、中央に父の棺、四隅にそれぞれの部屋、楽器はピアノオンリーで構成する極めてシンプルな配置なので全体の把握がしやすく、キャラクターの特徴も掴みやすい。つくづく小さい箱でシンプルにまとめるのに向いた演目だな〜と思いました。早めにOSTと再演情報ください。円盤も欲しいです。

とまあこんな感じで終始はわわわ……ってなりながらしっかり楽しんでカテコになったんですが、めちゃくちゃ面白かったのが皆さんおもむろにカメラを掲げてもうそっからキャストさんの歌声と共にカシャカシャカシャカシャ!!ってシャッター音が。ほぼ記者会見。なるほど、開演前にみなさんでっけえカメラでピント合わせしてたの、この為かってめちゃくちゃ納得しました。でもわかる、推しの写真撮れるなら絶対撮っときたいよね。カテコとか撮影出来るの、マジでめちゃ良いな〜!!

という訳で!!しっちゃかめっちゃかになってますが一旦切ります!!最後の最後に驚くほどどうでも良い話なんですけど生ブカマを鑑賞して私はやっぱりミーチャを最推し、ミン・ウヒョク氏にやって欲しい意志を新たにしました。いや、贔屓の引き倒しとかじゃないねん……ミン・ウヒョク、マジでミーチャ似合うねん絶対……やって…、