Miruntius ミュージカルと雑記その他

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2024初観劇フレンチロック「赤と黒」

タイトル通り、1月3日年始最初の観劇は「赤と黒」になりました。

久々に二幕もののデカいミュージカルを見れてかなり満足はできましたが、色々思うところはありつつ…という感じの演目です。

一応スタンダールの原作『赤と黒』は過去に読了済みで観劇に挑みましたが、見ながら見る前にもっかい復習したら良かったな…と思いましたね。今からまた読み直します。

 

まず、良かったところは間違いなく、女性の描きかただったかなと思います。ジュリアンの恋の相手であるルイーズしかりマチルドしかり、貴族女性として生まれたが故の家のための結婚に縛られ抑圧される人生を送らざるを得ないという、事情がはっきり描かれていてこの辺りはかなり良かった気が…

ただ、彼女達は貴族女性であり、そもそも下の階級から成り上がってきたジュリアンとは階級的に圧倒的な力関係があり、抑圧された被害者でもありつつ下層階級を抑圧し、虐げることも見捨てることも出来る加害者としての面も割と分かりやすかったのでその辺りも全体加味して階級闘争とそれを作り出す貴族の家父長制的社会制度に対する風刺的演出にもなってたかと思います。

とはいえ…とはいえなんですけども?!めっちゃ恋愛に主軸おいたせいでジュリアンの野心的で狡猾な男要素やら何やらが結構かなり減退してないっすかね?!?や、『赤と黒』、確かに恋愛小説でもあるとは思うんですけど、ルイーズとジュリアンにせよマチルドとジュリアンにせよ、あんなとりあえずジュリアンがめっちゃ惚れっぽい何が理由で好きになったかあんまわからん脚本にせんくて良くない…??(マチルドはちょっとわかりやすかったかもしれん)ジュリアンは、最下層から自らの美貌と才能だけを頼りに、時には聖職者時には軍人を目指してかなり野心的な行動をとるし、まあなので女性達に関しても彼女達を使って上に昇ろう、支配してやろうって気持ちが多少なりとも含まれてる訳ですよ…それが彼女達との関わりの中で如何ともし難い泥沼に嵌まりこんで破滅していく訳じゃないですか。その辺りがミュージカルだとわかんない…私にはわかんない…全体的に三浦くんの美貌はわかるが野心と知性は弱かったと思いますよ。かなり恋愛主軸のミュージカルになってたせいで、私としてはジュリアンが興奮すればするほど心理的に…???って感じで距離が出来てしまい、最終的な決着にもイマイチ階級闘争に絡めとられた哀しみを感じとりにくかったです。ジュリアンの才能的描写といい、目指す方向性といいはたまた女性への眼差しといい、もうちょっとなんか…なんかあったのではなかろうか。

あとまあこれはもう原作からして何?って私がずっと思ってるんだが、ルイーズが僕を許してくれた!僕が本当に愛しているのはルイーズなんだ!ってマジで…??マチルドはどうしたよおい…ってミュージカルでも再びなりました。まあルイーズはジュリアンにとって母のような存在って言ってたので、はいはいお決まりのやつね…って感じではあるのですが何れにせよマジで??でなんですよ私は。これは別にミュージカルに対する文句ではないな…

 

という感じでなんかもやついた話をズラズラ並べてしまいましたが、全体的には普通に面白く見れました。あ、でもルイーズを撃つシーン、ジュリアンがルイーズの周り周回するせいで、パリからヴェリエールまで走っていってる?!ってなったんですけどどう考えてもあそこ面白すぎない?(面白がるシーンではない)

結構久々に二幕ものの充実したミュージカルみたのも良かった要素なんですが、あと割と古き良きミュージカルというか、台詞が一段落すると徐に音楽が流れ出す感じの古き良きミュージカル感もなんか良かったです。ダンサーさん達が徐に並びだすのもね、良い。曲は流石にフレンチロック!って感じの良さで、訳詞がちょっともったりした感じだったのも、古き良きミュージカル感に一役買ってましたかね??好きな感じでした。

あとねえ、三浦宏規氏は見る度に良くなりますねえ…冷たい態度と激昂したときの切り替えも良かったし何より低温がしっかりした歌にきれっきれのダンス…マチルドの部屋にスタイリッシュにスッ転びながら入ってくる「…もう少しで、こけてしまうところでした」もいい按配過ぎますな。